慢性リンパ球性白血病

1. 病気のしくみ

慢性リンパ球性白血病(CLL)は、リンパ球という白血球の一種がゆっくりと増えすぎてしまう病気です。
「白血病」という名前から重い病気を想像されるかもしれませんが、
CLLはゆるやかに進行するタイプで、長く安定して生活できる犬も多くいます。

2. 診断の流れ

血液検査でリンパ球が増えている場合に疑われます。
さらに詳しい検査(フローサイトメトリーなど)を行い、
「腫瘍性(がん性)リンパ球の増殖」かどうかを見分けます。

必要に応じて骨髄検査を行うこともあります。
これらを総合して「慢性リンパ球性白血病」と確定診断します。

3. どんな症状が出るの?

最初のうちはほとんど症状がないことが多いです。
ゆっくりと進行するため、定期健診で偶然見つかることもあります。

進行すると、次のような変化が見られることがあります。

  • 元気がなくなる
  • 食欲の低下、体重減少
  • リンパ節や脾臓が腫れる
  • 貧血や血小板減少による出血傾向

4. 治療について

● 治療を始めるタイミング

血液検査でリンパ球が著しく増えてきた場合や、
元気・食欲の低下、貧血・出血などの症状が出たときに治療を開始します。

無症状のうちは、治療せず定期検査で様子を見ることもよくあります。

● 主な治療法

治療の目的は「がん細胞を完全に消すこと」ではなく、
病気の進行をゆっくりにして、生活の質を保つことです。

薬の種類主な作用投与方法
クロラムブシル(抗がん剤)白血病細胞の増殖を抑える飲み薬(数日に1回)
プレドニゾロン(副腎皮質ホルモン)炎症と免疫反応を抑える飲み薬(毎日 → 徐々に減量)

※副作用は比較的軽く、嘔吐・食欲変化・軽度の白血球減少などが見られることがあります。
定期的な血液検査で安全を確認しながら行います。

5. 予後(病気の見通し)

CLLは比較的おだやかに進む病気で、
治療を続けながら1〜3年以上、元気に生活できる犬も多くいます。

  • B細胞型 → 経過がゆるやか、長期生存例多数
  • T細胞型 → やや進行が早い傾向

「白血病=すぐに悪くなる病気」ではなく、
**コントロールしながら暮らす“慢性疾患”**として理解されるとよいでしょう。

6. 飼い主様へのメッセージ

  • CLLは治せる病気ではありませんが、“うまく付き合える病気”です。
  • 治療を続けることで、元気な時間を長く保てます。
  • 副作用が少なく、在宅での投薬が中心になります。
  • 定期検査とお薬の調整がとても大切です。

🐾「病気と戦う」というより、
“病気と一緒に上手に暮らす” ことを目標にしましょう。