1. 病気の概要
- **急性リンパ球性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia; ALL)**は、骨髄でリンパ球の幼若細胞(芽球)が異常に増殖する病気です。
- 血液や骨髄のがんの一種で、**非常に進行が速い(急性)**のが特徴です。
- 正常な血液細胞の産生が妨げられ、貧血・出血傾向・感染症などが生じます。
2. 症状
- 元気・食欲の低下
- 体重減少
- 貧血による粘膜蒼白
- 発熱、感染症を繰り返す
- 出血(鼻血、点状出血など)
- リンパ節の腫れ、肝臓・脾臓の腫大
※進行が早く、数日〜数週間で全身状態が急激に悪化することがあります。
3. 診断方法
- 血液検査
- 白血球数の異常(増加または減少)
- 貧血・血小板減少を伴うことが多い
- 血液塗抹検査
- 芽球と呼ばれる未熟なリンパ系細胞が出現
- 骨髄検査
- 芽球が全体の30%以上を占める場合、ALLと診断
- フローサイトメトリー/免疫染色
- 細胞表面マーカーを解析し、T細胞型・B細胞型を分類
- X線・超音波検査
- 肝脾腫やリンパ節腫大などの臓器病変を確認
4. 治療方法
化学療法(抗がん剤治療)
- 治療の中心は多剤併用化学療法です。
- 主に使用される薬剤:
- プレドニゾロン(副腎皮質ホルモン)
- ビンクリスチン
- シクロフォスファミド
- ドキソルビシン など
- 治療目的は**寛解導入(症状を抑える)**であり、完全な治癒は難しいことが多いです。
支持療法
- 抗生剤・輸液・輸血などで感染や出血、貧血を管理
- 栄養管理と体力維持も重要です
5. 予後の目安
- 残念ながらALLの予後は厳しいのが現実です。
- 治療に反応しても寛解期間は数週〜数か月程度が多く、長期生存は稀です。
- 平均生存期間:数週間〜3か月前後(報告によって差あり)
- 早期に治療を始めた場合でも、再発率が高い病気です。
6. フォロー・再発管理
- 化学療法中は毎週〜隔週で血液検査を行い、副作用と腫瘍の反応をチェック
- 寛解後も定期的に血液検査で再発の有無を確認
- 再発時には再導入療法を検討しますが、反応は鈍くなることが多いです
7. よくある質問(Q&A)
Q1:治る病気ですか?
A1:現時点では「完治」は難しく、一時的な寛解を目指す治療になります。
Q2:治療しないとどうなりますか?
A2:急速に進行し、数日〜数週間で体力を失い、命に関わります。
Q3:副作用はありますか?
A3:食欲不振、嘔吐、下痢、白血球減少による感染リスクなどがありますが、支持療法で軽減できます。
Q4:CLL(慢性リンパ球性白血病)とはどう違うの?
A4:CLLはゆっくり進行する「成熟リンパ球のがん」で、ALLは急速に悪化する「幼若リンパ球のがん」です。
8. 飼い主様へのメッセージ
- ALLは進行の速い難治性疾患ですが、早期治療で一時的に元気を取り戻すことも可能です。
- 最も大切なのは、「治す」よりも「今の生活の質(QOL)」を保つこと。
- 獣医師と相談し、治療強度や在宅ケアの方針を一緒に考えていきましょう。