はじめに
腫瘍(しゅよう)と診断されると、「すぐに手術が必要なの?」「高齢でも大丈夫?」「手術しない選択肢は?」など、多くの不安や疑問を感じられると思います。
このページでは、**犬や猫の腫瘍に対する外科治療(手術)について、メリット・デメリット・適応(手術が勧められるケース)**を、できるだけ分かりやすくご説明します。
※実際の治療方針は、腫瘍の種類・進行度・年齢・基礎疾患などによって異なります。最終的には個々の状態に合わせてご提案します。
腫瘍の外科治療とは
腫瘍の外科治療とは、腫瘍そのものを手術で切除する治療です。
- 良性腫瘍:完全切除で「治癒」を目指せる場合が多い
- 悪性腫瘍:再発や転移を防ぐ目的で、周囲の組織を含めて切除する
腫瘍の治療の中でも、最も根本的な治療法と位置づけられています。
外科治療のメリット
① 腫瘍を物理的に取り除ける
手術は、腫瘍を目に見える形で除去できる唯一の治療法です。
- 腫瘍による痛み・出血・感染の改善
- 内臓の圧迫や機能障害の解消
② 良性腫瘍では完治が期待できる
良性腫瘍の場合、完全に切除できれば再発せず治癒するケースが多くあります。
③ 悪性腫瘍でも予後改善が期待できる
悪性腫瘍でも、
- 早期発見・早期手術
- 適切なマージン(余裕)をもった切除
ができれば、生存期間の延長や生活の質(QOL)の向上が期待できます。
④ 病理検査で正確な診断ができる
切除した腫瘍を病理検査に出すことで、
- 腫瘍の種類(良性・悪性)
- 悪性度
- 切除が十分だったか
を正確に評価でき、その後の治療方針を明確にできます。
外科治療のデメリット・注意点
① 全身麻酔が必要
手術には原則として全身麻酔が必要です。
- 高齢
- 心臓病・腎臓病などの持病
がある場合、麻酔リスクを慎重に評価する必要があります。
※当院では事前検査を行い、安全性をできる限り高めます。
② すべての腫瘍が手術適応ではない
- すでに全身に転移している
- 重要な臓器や血管に広く浸潤している
場合、手術だけでは十分な効果が得られないことがあります。
③ 再発の可能性
悪性腫瘍では、
- 腫瘍の性質
- 切除範囲
によって、再発や転移の可能性があります。
④ 術後のケアが必要
- 傷口の管理
- エリザベスカラーの装着
- 一時的な運動制限
など、飼い主さまのご協力が重要になります。
外科治療が勧められる主なケース(適応)
以下のような場合、外科治療が第一選択となることが多いです。
- 腫瘍が局所に限局している
- 良性腫瘍、または低悪性度腫瘍
- 早期発見された悪性腫瘍
- 腫瘍による痛み・出血・生活の質低下がある
- 全身状態が比較的安定している
手術以外の治療との併用
腫瘍の種類によっては、
- 抗がん剤治療
- 放射線治療
- 緩和ケア(痛みの管理)
を手術と組み合わせて行うことで、より良い結果が得られる場合もあります。
「手術をする・しない」の二択ではなく、その子に合った治療の組み合わせを一緒に考えていきます。
飼い主さまへ
腫瘍の治療に「正解」は一つではありません。
- 年齢
- 性格
- ご家族の考え方
も含めて、納得できる治療を選ぶことが何より大切です。
栄どうぶつ病院では、メリットだけでなくデメリットや限界も正直にお伝えし、
飼い主さまと一緒に治療方針を決めることを大切にしています。
気になること、不安なことがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
※本ページは一般的な情報をまとめたものです。個々の症例については診察・検査の上でご説明いたします。