がん治療について
そもそも腫瘍とは、がんとはなにか
がんとはいわゆる悪性腫瘍のことで、体の栄養を奪いながら無秩序な増殖をしていくことで機能を障害し、体を蝕んでいきます。
悪性腫瘍(がん)は良性腫瘍とは異なり、近隣臓器に浸潤したり、転移することがあります。
どんな症状がでるのか
ひとくちに腫瘍といっても、外から見えたり触れるものがあれば、体内にできるものもあります。症状は発生部位や腫瘍の種類によって様々です。
食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少、血尿、痛みといった症状を示す場合もあれば、進行するまで症状を示さない場合もあります。痙攣などの神経症状を示すこともあります。
腫瘍が見つかったらもうだめなのか?
「腫瘍ができています」と言われると、もうどうにもならないのかと思われるかもしれません。
もちろん、発見された時点で残念ながら末期的なこともあります。ですが、
・その腫瘍はどんな腫瘍か(腫瘍の種類)
・良性?悪性(がん)?
・悪性なら、どのくらいの悪性度なのか(グレード分類)
・どのくらい体の中で広がっているのか(ステージ分類)
によって治療法や予後が異なります。
確定診断の必要性
どんな治療法があって、どのくらいの予後が見込めるのかを知るためには、各種の検査をして確定診断をつける必要があります。
血液検査、レントゲン検査、超音波検査、CT検査、MRI検査、病理学的検査など、複数の検査を組み合わせて診断します。
治療の目標
確定診断ができたら治療を行います。
治療の目標は、腫瘍の種類や進行度と、体の状態によって異なります。
・完治・寛解を目指す
・病気の進行を遅らせる
・腫瘍の治療ではなく、腫瘍による苦痛を緩和させる
といったどの段階を目指すのかは、治療開始前に決定します。
治療の内容
腫瘍に対する治療は
・外科治療(手術)
・放射線治療
・抗がん剤治療
の3つが柱となります。
これらの治療を、腫瘍の種類、病状、治療目標に合わせて選択し、単独あるいは組み合わせて治療を行います。
さらに、苦痛の緩和(鎮痛など)や栄養療法を併せて行います。
早期発見早期治療
腫瘍に限らず、どんな病気も早期発見・早期治療を行うことが望ましいです。
定期的な検診を受け、大切な家族との時間を健康に長く過ごすことを目指しましょう。
外科治療
外科治療は、手術で腫瘍そのものを摘出する方法です。
病変そのものを摘出できることが最大のメリットですが、手術の侵襲と、術後の機能障害の恐れがあります。
放射線治療
X線、γ線、電子線などの放射線を患部に照射し、腫瘍細胞を障害する方法です。
ただし、同時に正常細胞も障害してしまうため、周囲組織の放射線障害に注意が必要です。
また、治療を行うために毎回鎮静や麻酔が必要です。
抗がん剤治療
注射や点滴で抗がん剤を体内に投与する方法です。
全身の腫瘍細胞に対し治療が可能で、外科手術で取りきれなかった腫瘍細胞や微小転移巣にも効果が期待できます。
ただし、正常な細胞にも障害を及ぼすため、副作用に注意する必要があります。
どんな方法をとるにしても
どういった治療目標で、どんな治療を行うとしても、栄養療法や緩和ケアは生活の質を維持するために必要です。
また、腫瘍の治療を行うにあたって、ご家族の病気に対する理解と、家族間での意思疎通がとても大切です。
病気の進行に伴って状況が刻一刻と変化することもあります。
わからないことや不安なことはその都度、獣医師に相談しましょう。
腫瘍の発生状況
伴侶動物である犬や猫の高齢化に伴い、腫瘍の罹患率は増加しています。
ある調査によると、10歳以上の犬や猫の死因の2割以上(死亡原因の1位あるいは2位)を占めています。
2017年度アニコム損保株式会社の統計による